婚姻関係の破綻ってどういう状態のこと?

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Divorced

『婚姻関係の破綻』とはどのような状況を指すのでしょうか?『婚姻関係の破綻』は、あまりなじみのない方ですと、「婚姻関係の破綻って、つまりは離婚のことですよね?」と考える方もいらっしゃいます。
しかし、実際は『婚姻関係が破綻しているから離婚する』のであり、この二つの単語はイコールではありません。今回は、この言葉の指し示す意味について、ご紹介します。

 

婚姻関係、夫婦関係の破たんの定義

婚姻関係の破綻とは、抽象的な表現で『夫婦として共同生活を継続する意思が失われ、回復の見込みがないと客観的に判断できる状態を指す』とされています。

このため、離婚請求などをする際は、婚姻関係が破綻していることを証明すると離婚調停、裁判に大きく影響するケースも存在します。
客観的に見てどうしようもないほど、夫婦である二人の関係は冷え切っていて、もはや共同生活ができないと調停委員や裁判官に認められれば、離婚を希望する側は離婚請求も通りやすくなるのです。
しかしながら、この『婚姻関係の破綻』の有無を判断する調停委員や裁判官は、これらの判断を双方の主張を総合的見て決めます。

そのため、当事者がお互いに「離婚したい(婚姻関係は破綻している)」「離婚したくない(婚姻関係は破綻していない)」と相対する主張をした場合、当事者それぞれの言い分や裏付、相手方への態度、話の信憑性などから、判断されます。

 

破たんを証明する

また調停や裁判のような場所では、大抵の場合このように意見が対立し、客観的な判断が難しい場合も少なくありません。
そのため、実際に婚姻関係は破綻していることを客観的に認めてもらおうと考えた場合、それを証明できる証拠品を集めることが重要です。
逆に、この証拠品に成り得るような行動を起こしてしまうと、相手から離婚請求されやすくなってしまうことには注意するべきでしょう。

証拠品以外にも、現状に至るまでの経緯や話し合いの内容、明らかに嘘と判るような発言、作り話などで、調停委員や裁判員からの心証を良くもし、悪くすることもございます。
いずれにせよ、一日や二日で用意できるものではないため、日頃の夫婦生活において、浮気の前兆を感じた際などは特に「相手や自分の行動は婚姻関係の破綻を示していないか?」と考えてみると良いでしょう。

重要なことは、『婚姻関係の破綻』という状況が法律によって認識されており、またどの夫婦であっても、いつその状態に直面するか分からない、という点です。
今まったく『婚姻関係の破綻』に対する意識がないとしても、事前に知っておいて損はありません。

望まない判断を避けるためにも、『婚姻関係の破綻』の有無を、証明する証拠を提出できる、ということは非常に重要です。

婚姻関係の破綻という抽象的な状態を証明する証拠について、代表的なものは、たとえば相手の浮気調査の調査報告書です。
相手の浮気(不貞行為)を示す書類は、婚姻関係の破綻を証明する証拠となります。

ほかにも、DVや身体的暴力を継続的に受けている場合には、病院でそれらによってできた怪我などの診断書をもらうことで、証拠として提出できます。
精神的な暴言を受けている場合には、録音データや、証拠がない場合でも、文章にそれらの経緯を書き留めることで、証拠として扱われる場合があります。

 

破たんを証明する証拠がない、証明できない

このような被害を受けたため、婚姻関係の破綻が証明できるケースと、証拠を提出することが非常に困難なケースがございます。
例えば、性格の不一致やセックスレスのように、決定的証拠を提出できない場合や当事者しか知り得ない事実。このような場合はどのようにして現在の状況に至ったのかを、細かく説明する必要があるのです。なのでお互いの言動、行動、それについて話し合った内容などを日記などに書き留めておくことでそれを証明できるでしょう。

相手に非があるかないかに関わらず、どのような経緯を経て今の状況に至ったのか、夫婦間でこんな話をした、こんなことを言われたなど、日にち、時間、状況を文章で記録しておくことが大切です。浮気の兆候などがある方は、朝帰り、宿泊をした日にちなども一緒に書き込んでおきましょう。

このような書類では相手が嘘をつく場合もありますが、書類を慌てて作成したり、偽造したり、嘘の記録、感情的な部分が多く入ったものなどは、結果つじつまが合わなくなり、後にバレることが多いです。嘘がバレると調停員はもちろん、たとえ自分側の弁護士であっても猛烈に信用をなくしますので、嘘の記録を作ろうと考えている方はやめた方がいいでしょう。また、証拠を持っている方は相手の多くの嘘を聞いてから証拠を提出することで、自分にとって有利に物事を進められます。

仮に証拠がうまく効果を発揮しなくても、調停や裁判に根気よく真摯に向き合うことで、調停委員や裁判員からの心証を良くできるでしょう。
いかに相手方が嫌いで顔も見たくない調停であっても、また調停員と性格的に合わない場合でも、そこをグッとこらえて誠実に対応することが、自分にとっての手助けになることでしょう。

 

破たんと別居について

別居をしている場合も婚姻関係の破綻の原因となりますが、たとえば証拠のないような性格の不一致で家を出た場合、家を出た側が自ら婚姻関係を破綻させた、と判断される場合もあります。
浮気で相手が家に帰ってこない、家事の分担が極端で耐えられなくなって家を出た、など、明らかに相手に非がある場合、これ以上の証拠はありません。

ただ、子どもと同居している場合、子どもを残して家出をすると親権の争いが不利になるので注意が必要です。
夫婦間で大きな争いに直面した際には、どのような行いが裁判でどのようにみなされるのか、事前に知っておきましょう。

 

破たんしている状況 その他の症状

このように婚姻関係の破綻を示す証拠には、不貞行為に当たる浮気や別居など分かりやすいものもあれば、思いもよらない行為もあげられます。

それでは、同居していても婚姻関係が破綻していると見なされる具体的な行為についてご紹介しましょう。
別居している夫婦は、物理的に共同生活を送れる状態にないということになります。
そのため、双方が友好的な関係を築き同意がある場合を除き、婚姻関係が破綻していると言えます。

しかしながら同居していて、物理的に共同生活を送っている夫婦であっても、場合によっては婚姻関係が破綻している、と判断される場合があります。
例として下記のようなものがあるので、確認していきましょう。

性交渉が長期間行われていない

明文されてはいませんが、観念的には夫婦間には貞操義務があります。
このため、円満な夫婦関係の証拠となる性交渉の有無も、婚姻関係についての判断材料になるでしょう。

しかしながら、性交渉については本人の自由意思が尊重されますので、性交渉がないだけで婚姻関係が破綻している、とは判断されません。
しかし、これから挙げる他の条件にも合致し、なおかつ性交渉が長期間行われないセックスレス状態であれば、婚姻関係が破綻していると認められやすいでしょう。

家事労働・職業労働の分担がない

婚姻関係において、夫婦は家事労働、職業労働を分担しなければなりません。

例えば。夫が仕事をリストラされてから再就職しようという意思がなく、家事を手伝わない場合があります。
この場合、家計を支える職業労働と、家の中の家事労働、すべてを妻が担うことになり、これらの分担ができていないので、婚姻関係が破綻している、と言えます。

しかし、少しでも分担が出来ていればこの判断はできません。
会話もなく冷え切った夫婦関係の中、夫は仕事をして家計を支え、妻が食事が用意をするケースにおいて、妻側が経済的自立が難しく、やむを得ずそのような生活を送る場合もあります。
家事労働・職業労働の分担はなされているため、婚姻関係が破綻していると客観的には判断されにくい状態です。

またこのような場合、しびれを切らした一方が労働を辞めると、協力扶助義務を怠ったとみなされます。
これは悪意の遺棄と見なされ、婚姻関係を悪意から破綻されたと判断されるので、注意が必要です。

普段の生活で何気なく行っている行為が、婚姻関係の成立に結びついているのです。

『性交渉が長期間行われていない』『家事労働・職業労働の分担がない』という行為が、婚姻関係の破綻の客観的証拠となる、これらの理由は比較的分かりやすいものでしたが、少し違った側面から『婚姻関係の破綻』を示す事例についてご紹介します。

家計を夫婦別々に使っている

夫婦には協力扶助義務というものがあります。
これは、お互いに何かしらの協力をしながら生活する義務のことです。
仮にお互いに何の協力もせずに生活しているなら、これは婚姻関係が破綻しているとみなされる場合もあります。

共働きの夫婦の場合、家計が別でもおかしくありませんし、それだけで婚姻関係の破綻と結び付けられることはそうありません。
しかしながら、過剰に家計が折半されていたり、同時に他の条件をみたしている場合、婚姻関係が破綻していると見られる場合もあります。

夫婦で行事や祭事に参加していない

普段意識しないことですが、夫婦として出席を求められる行事・祭事に夫婦で出席しないことを指します。
家族で旅行に行くとき夫婦のどちらかが欠けていることも、これにあたるでしょう。

これらの行事・祭事は夫婦であるからこそ出席が求められるもので、欠席は夫婦の自覚がない、夫婦であることを受け入れているのに関係が冷えている、と判断されてしまいます。

もっともやむを得ない理由で参加できない場合は考慮されます。
しかしながら、日常生活においても冷え切っており、さらに行事・祭事への夫婦二人での参加が極端に少ない、又は全くないようであれば、婚姻関係が破綻していると見られるるでしょう。

 

婚姻関係の破綻の有無は、このような事例と当事者の証言を突き合わせて、裁判所が総合的に判断します。

しかし、説明したことが立証できないプライベートな事柄の場合、判断は困難になります。
たとえば妻側が婚姻関係の破綻を示す事例を挙げたとしても、夫側がそれを全て否定してしまえば、裁判所側ができることはありません。

同居している子どもがいれば証言を頼めますが、プライベートな事例の場合、客観的な証拠を得ることは難しいでしょう。
そのため、同居していて婚姻関係の破綻を裁判所側に認めてもらうことは、簡単ではないことを覚えておきましょう。

 

破たんと有責配偶者の関係

ここからは、離婚訴訟で婚姻関係の破綻と同時に重要になり、有責性の有無について、ご紹介します。
有責性とは字の通り、責任(夫婦どちらか悪い方です)があることを示します。
たとえば、家庭内暴力を行った人物、別居を申し出た人物、不貞行為を行った人物などは、それらの行いに対する責任があるのです。

有責配偶者が離婚請求を行うことは、無責配偶者からの離婚請求よりもはるかに厳しく、婚姻関係が破綻していると十分に認められるときですら、請求が棄却されてしまう場合があります。

これは、例えば自ら不貞行為やDV行為を行って相手を傷つけ、離婚請求をするなどという身勝手な行為を許さないためです。
DV加害者や不貞行為を繰り返す人間を野放しにされることは裁判所が許すことはありません。
婚姻中に悪行の限りを尽くした配偶者が離婚しやすくなる状況は、道義的・倫理的にも認められないので、有責配偶者の離婚請求は通りにくいのです。
しかし、自分に有責性があってもどうしても離婚したい、というケースもあるでしょう。

例えば、自分は浮気をしてしまったけれど、妻(夫)との共同生活はこれ以上考えられないから離婚したい、それでも配偶者は応じない。

このような場合は、離婚請求が認められるまで長期間別居するか(4年~5年)、金銭的にかなり手厚い金額を提示するのであれば解決することも可能です。
損害賠償としての慰謝料を受け入れたり、財産分与を考慮するなどして、無責配偶者に対して金銭的な相応の対価を差し出し、誠意を持って交渉すれば、離婚も受け入れられるかもしれません。

長期間の別居をしたとしても離婚請求が認められるとは限らないため、金銭的に解決できるならば、そのほうが現実的だといえます。
もっとも、このようなケースでは、自ら婚姻関係が破綻するような行為を行う前に、離婚請求行ってしまうのがスムーズです。

 

まとめ

これまでに挙げた状況が全て当てはまっていても、故意に作られた状況であれば認められませんし、逆に一つでも信憑性があり、切実な状況であれば認められるケースもあるのです。

『夫婦として共同生活を継続する意思が失われ、回復の見込みがないと客観的に判断できる状態を指す』婚姻関係ですが、これが破綻していると認められることは、そう簡単なことではありません。

しかし、どのような状態が『婚姻関係の破綻』を指し示すかを知ることは、いざというときに、家族や友人、自分の身を守ることにもつながります。

このような知識が役立つ夫婦関係にならないことが一番ですが、離婚請求は全国に年間20万件もおきているので、知識をもっておくに越したことはないでしょう。

 

是非参考にして、周囲や自分の婚姻関係を良いものにしてください。

 

 

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