A.長期間にわたって別居をしていたり、セックスレスや暴力、浮気、経済的な理由などによって夫婦の仲が修復する見込みがない状態をいいます。
「夫婦関係の破たん」が問題となるのは、不貞行為などを理由とする離婚・慰謝料請求を行う場合です。不貞行為とは、配偶者以外と性的な関係をもつことをいいます。
夫婦には貞操義務があるので、もし、配偶者が不貞行為をして、その義務に反したとき、「配偶者が(不貞行為によって)夫婦関係を破たんさせた」として、離婚・慰謝料請求をすることができます。
しかし、有責配偶者(夫婦関係を破たんさせる原因を作った側)が、不利な条件で離婚するのを避けようと、「浮気をする前からすでに夫婦関係は破たんしていた」と主張することが多いのが現状です。その場合、夫婦関係が破たんしていたことを示す証拠が必要となりますが、それを裁判所が認めれば、不貞行為とは見なされません。
例えば、「別居をしている」という事実は、夫婦関係の破たんを示すわかりやすい証拠ですが、別居期間が裁判所の判断を大きく左右します。夫婦関係の破たんが認められるには、一般的には6~8年、少なくとも5年以上の長期間にわたる別居期間が必要であることが多いようです。
ただし、有責配偶者からの離婚請求である場合、破たんが認められる別居期間はさらに長く、10~20年になるといわれています。「厳しすぎる」と感じる方もいるかもしれませんが、これは、裁判所が原則として、有責配偶者からの離婚請求を認めていないからです。もちろん、別居期間だけではなく、未成年の子どもの有無や、訴えられた相手の状況など、総合的に見て、判断されることになります。
一方、別居はせず、同居中という場合、夫婦関係の破たんを認めてもらうのは、そう簡単なことではありません。「同居していても、夫婦のコミュニケーションはなく、別居状態である」ことを証明しなければならないからです。いわゆる“家庭内別居”という状態ですが、実はこの状態について明記された法律はありません。
実際に別居をするのが最も確実な方法ではありますが、経済的な事情から難しいという方もいらっしゃると思います。その場合は、別居状態であることを証明するために、「お互いに別居状態であることを認識している」ことを記した「別居合意書」を作成しておくといいでしょう。
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