A.どの程度の暴力がDVであるとは、明確に定められてはいませんが、何らかの暴力によって「配偶者の心身に害を及ぼしている」とすれば、それはDVにあたります。
昨今、DV被害者への理解が深まっているなか、離婚請求を有利に進めるためにDVをでっちあげるという、驚くべきケースも出てきました。しかし、いったん加害者と疑われてしまった場合、「DVをしていない」ことを証明するのは、なかなか難しいようです。
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者による暴力のことをいいます。殴る蹴るなどする身体的な暴力だけでなく、精神的な暴力も含まれます。精神的な暴力は表面化されにくく、知らず知らずのうちに心にダメージを与えていることがあり、モラルハラスメント(モラハラ)という言葉で社会問題化しています。
また、金銭的自由を奪うなどする経済的暴力や、性的暴力などもDVにあたります。
DV防止法では、どの程度の暴力がDVに該当するのかについて具体的に定められているわけではありませんが、「夫婦で言い争っているうちに、つい相手を傷つける言葉や態度をとってしまった」というような場合は、まだ夫婦げんかの範囲内といえるでしょう。
ただし、1回でも命にかかわるような暴力を受けた場合や、将来的に重大な危害を受けるおそれがある場合は、すぐに警察や配偶者暴力相談支援センターなどに相談し、援助や保護を求めましょう。
DVは、加害者が暴力を繰り返し、被害者の心を支配しようとする行為です。そのため、支配されている被害者にはDVを受けているという自覚がない人もいますが、「暴力によって配偶者の心身に害を及ぼしている」と判断されれば、DVを離婚事由として離婚することができます。
また、ケガをしたり、深い心の傷を負ってPTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こしたりしている場合、その程度によって金額は変わってきますが、慰謝料を請求できます。
そして、離婚請求や慰謝料請求をする際に、DVの証拠が重要となることがあります。
ケガの部位の写真や、「いつ、何を言われ、何をされたか、何を感じ、どんなダメージを受けたか」などについて記録しておくようにしましょう。
暴力を受けた際の音声や動画を残すことができれば、さらに強力な証拠となります。
一方、離婚時にDV被害を訴えると、調停や裁判を有利に進めることができるため、「DVを受けた」と嘘をつくケースも少なからずあるようです。
びっくりするような話ですが、不貞行為をしている有責配偶者側が、それを理由に慰謝料を請求されるのを防ぐため、逆にDV被害者の仮面をかぶって裁判所などの公的機関を欺く人もおります。
自分で体に傷をつけて写真を撮ったり、実際にはなかったことを事実のように日記に書き立てたり、証拠を偽造するのです。
巧妙な手口で、社会的にもDV被害者を守る傾向にあるため、疑われたほうが不利になります。いくら否定しても、DVをしていないことを証明するのは簡単ではありません。
男性ばかりではなく、今や女性にもDV加害者は増えていますから、疑われる可能性は男女ともにあると言えるでしょう。
もし、そうしたDVのねつ造をされてしまった場合、そのショックは計り知れないと思います。
お一人で抱え込まずに、ぜひ弁護士に相談してみてください!
夫婦の信頼関係を取り戻すことは難しいかもしれませんが、調停などで不利にならないよう、専門家の助けを借りながら万全の態勢を整える必要があります。
ホームへ戻る→