A.一般的に、金銭の返還請求というものは、それを支払った本人または代理人が行うもので、奥様が請求することはできません。
では、「夫自身であれば愛人に請求できるのか?」というと、それもできません。“愛人契約”は公序良俗に反した行為とされていて、そのために支払われたものは、本人であろうと返還請求が禁じられているのです。
民法第90条(公序良俗)に、
「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」
と明記されているように、“愛人契約”というもの自体に法的根拠はありません。
また、民法第708条(不法原因給付)には、「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。」とあります。
つまり、「愛人関係を維持する目的」という、“不法な原因”のために金銭を支払った夫は、その返還を求めることができないのです。
よほどの特異なケースでなければ、これを覆すのは難しいでしょう。
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